「サブリース契約は解約できない」「解約しようとすると違約金を請求される」——不動産を持つ人間として業界の勉強を始めると、そういう悪評は嫌というほど目にするようになりました。実際にトラブルになっているケースは今も後を絶ちません。
なので、正直私も自身の抱えるサブリース物件について「先々揉めることになるのではないか」漠然とした不安を持っていました。
結果から言うと——拍子抜けするくらいあっさりと穏便に解約できました。大手ハウスメーカーとのサブリース契約を、10年目に円満解除。その一部始終をお伝えします。
この記事でわかること
- サブリース契約の解約は実際どう進むのか
- 契約書のどこを確認すべきか
- 大手ハウスメーカーのサブリース契約の実態
物件とサブリース契約の概要
この物件は、祖父が相続税対策として建てた木造戸建です。建築を依頼したハウスメーカーの賃貸関連会社とそのままサブリース契約を結ぶ流れでした。
契約内容がこちらです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 契約期間 | 20年 |
| サブリース料 | 家賃の10% |
| 退去発生時 | 退去月の1ヶ月分は振込なし。以降は入居有無に関わらず振込あり |
| 賃料改定 | 2年ごと・両者の合意で決定 |
| 家賃固定特約 | 最初の10年間は賃料改定なし(祖父の交渉による特約) |
| 解約条件 | 6ヶ月前通告・両者の合意が必要。違約金設定なし |
後になってこの契約書の詳細を読んで気づきましたが——祖父はめちゃくちゃ頑張って条件交渉を入れていました。おそらく「解約時の違約金設定なし」は大手ハウスメーカーのフォーマットなのですが、「最初の10年は家賃改定なし」という特約は、標準的なサブリース契約にはまず入っていない内容です。当時すでに業界を知り尽くし、物件の競争力を把握した祖父ならではの交渉力だと思います。
10年間の運用実績
一度、半年ほどの空室期間がありましたが、基本的には高い入居率を維持し続けました。10年間の入居率は約98%と試算しています。
空室リスクをサブリースが吸収してくれていたこともあり、収支は安定して推移しました。「サブリースが全部悪いわけではない」というのは、この10年で実感していたことです。
9年目——契約書を改めて熟読した
丸9年が経ったタイミングで、改めて契約書を最初から最後まで読み直しました。10年目の更新が近づいていたからです。
読み込んでみて、「めちゃくちゃ家主に優しい内容だ。」と正直に驚きました。
巷でよく聞く「解約できない」「一方的に家賃を下げられる」といったエゲツない内容とは、まったく別物でした。特に重要なポイントは2つ。
- 違約金の設定がない:解約しても罰則的な費用は発生しない
- 賃料改定は両者の合意が必要:こちらが拒否すれば一方的に下げられない
「これは、解約できそうかな」と思ったのはこのときです。
管理部署への確認
契約書を読み込んだ上で、サブリースの管理部署に電話して2点を確認しました。
「10年目の更新時、改定賃料の見込みはどうなりますか?」
→「その時点での確定値になるため断言はできないが、原則として現行家賃になる。若干下がる可能性はある。」
「解約も検討しているのですが、可能でしょうか?」
→「問題ない。管理会社が選定済みであれば、契約を引き継ぐ形で手続きを進められる。連絡先を教えてもらえればあとは直接やりとりします。」
拍子抜けするくらい、あっさりした返答でした。「解約?全然いいですよ」という温度感。もっと渋られるかと思っていたので、正直拍子抜けしましたし、同時にとても安心しました。
真っ当な大手ハウスメーカーであれば、そもそもサブリースで儲けようとしているわけではないのかもしれません。
解約の決断
確認の結果、解約する方向で動くことにしました。理由はシンプルで、サブリース料(家賃の10%)を払い続けるより、管理会社に通常の管理委託(3〜5%程度)に切り替えた方がキャッシュフローが改善するからです。
また、10年目以降は「家賃固定の特約」が切れるため、次の更新で家賃が下がるリスクも現実味を帯びてきます。タイミングとしても、ここが決断どころだと判断しました。
解約の手続き
① 解約の意思を連絡
6ヶ月前に書面で解約の意思を通知。この6ヶ月前通告が契約上の条件だったので、逆算して動きました。
② 解約合意書へのサイン
双方が合意した内容を文書化してサイン。内容に不明な点もなく、スムーズに完了しました。
③ 管理会社との契約引き継ぎ
私が事前に選定していた管理会社に、ハウスメーカー側から直接連絡が入り、契約の引き継ぎが行われました。私はほとんど間に入らずに済んだので、これは助かりました。
④ 敷金の引き渡し
入居者から預かっていた敷金が、ハウスメーカーから管理会社経由で大家である私に引き渡されました。金額の確認も特に問題なしで、誠実に対応いただきました。
解約してみての感想
ハウスメーカーの誠実な対応に感動した
「解約を申し出たら態度が変わるんじゃないか」とどこかで思っていましたが、まったくそんなことはありませんでした。担当者の方は最後まで丁寧で、引き継ぎも責任を持って最後まで対応してくれました。
大手の看板を背負っているからこそ、誠実に対応してくれた側面もあるのかもしれません。悪い印象はひとつもなく終われたのは、純粋に良かったです。
私は運が良かったと思っている
一方で、これが全員に当てはまる話ではないとも思っています。悪質なサブリース契約はたしかに存在します。違約金が設定されていたり、賃料を一方的に下げられたり、解約を申し出た途端に態度が豹変したり。
私の場合、祖父が契約時に良い条件を引き出してくれていたこと、相手が大手だったこと——この2点が大きかったと思っています。同じようにうまくいくとは限らない、という前提は忘れないようにしています。
サブリース解約を検討している方へ
① まず契約書を隅々まで読む
違約金の有無、解約条件、賃料改定のルール——ここを確認せずに動くのは危険です。「解約できる契約かどうか」を把握するのが最初の一歩です。
② 解約後の管理体制を先に整える
解約と同時に空白期間が生まれないよう、次の管理会社を先に決めておくことをおすすめします。引き継ぎがスムーズになりますし、交渉の場でも「代わりの管理会社はもう決まっている」と言える方が話が進みやすいです。
③ 悪質な条件の場合は専門家に相談する
契約内容が不当だと感じたり、相手が強引な対応をしてくる場合は、一人で抱え込まずに弁護士や賃貸借契約に詳しい専門家に相談してください。サブリース契約のトラブルは、専門家が入ることで状況が大きく変わることがあります。
まとめ
「解約できない」と怖れていたサブリース契約について、私は10年目に円満解約できました。
サブリース契約の良し悪しは、契約書の中身で決まります。今サブリース契約中の方は、一度じっくり契約書を読み直してみることをおすすめします。「思ったより良い条件だった」という発見があるかもしれないし、「これは問題だ」と気づくきっかけになるかもしれません。
どちらにせよ、内容を把握せずにいることが一番リスクです。


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