不動産所得は資産所得(不労所得)か?労働所得か?

「不動産投資は不労所得」という言葉を、よく見聞きします。しかし実際に不動産賃貸業を営んでいる立場から言うと、この認識には大きな注意点があります。不動産所得には、労働所得としての側面が多分にあるというのが私の考えです。

結論:資産価値によって「不労」の度合いが変わる

ポイントはシンプルです。

資産価値が高い不動産ほど資産所得(不労所得)の側面が強く、資産価値が低い不動産ほど労働所得の側面が強くなります。

資産価値が高い物件——資産所得の側面が強い

資産価値の高い物件(個人的には市場売買価格が1億円を超えるような物件)は、多くの入居ニーズがあり、借主に困ることがほとんどありません。十分なキャッシュを生み出してくれるため、管理委託すればやることはほとんどなく、まさに「不労所得」と呼べる状態になります。

  • 修繕費をかけなくても入居者はつく(管理会社も楽で積極的になる)
  • 多少の修繕費をかけても、それを十分にペイできる家賃が取れる
  • 結果として、オーナーが汗をかく部分はほとんどない

都心の駅近・人気エリアの物件はもちろん、私が相続した関西ベッドタウンの好立地物件も、まさにこの側面が強いと感じています。これは自分の努力ではなく、先代が積み上げてくれた立地という資産のおかげです。

資産価値が低い物件——労働所得の側面が強い

一方、資産価値の低い物件では、状況が逆転します。

管理費や修繕費に十分な費用をかけてしまうとペイできないため、自主管理になったり、DIYが主体になったりします。つまり、オーナー自身が汗をかくことで、初めて収入が得られるという構造です。

  • 自主管理で時間と労力を投じる
  • DIYでコストを抑える
  • 入居付けにも自ら動く必要がある(ジモティを使う例もある)

これは「不労所得」とは呼べません。明確な労働所得と私は考えます。

「一般人が手に入れられる不動産」の現実

ここで重要な視点があります。

一般人が手の届く価格帯の不動産は、それほど資産価値が高くないケースが多い。

資産価値の高い物件——好立地・高需要・高家賃が取れる物件——は、当然ながら購入価格も高くなります。1億円を超えるくらいという感覚です。一般的な個人が購入できる範囲の物件(〜5千万円)は、相対的に資産価値が低くなりがちです。よくない噂をよく聞く「ワンルール投資」などは1千万〜3千万円くらいのオーダーだと思いますが、本来汗をかかずに不労所得となるものではないと、私は思います。

つまり、これから不動産投資を始める一般の方にとって、「不労所得で将来安泰」という楽観的なシナリオは、まず実現しないと考えるべきです。それこそ与信が高く1億円を超える物件を購入できるくらいの属性にならないといけません。多くの方にそんな物件を購入することは難しく、不動産所得は労働所得としての側面が強くなります。

相続で不動産を引き継ぐ場合に考えるべきこと

相続によって不動産を引き継ぐ場合も、この視点は重要です。

引き継いだ物件が「資産所得型」なのか「労働所得型」なのかを、客観的に見極める必要があります。これによって、取るべき選択肢が変わってきます。

資産所得型の物件であれば

管理委託で手間をかけずに収益を享受できます。引き継いだことの恩恵をそのまま受けられる状態です。賃貸業を行なって、不動産を所有したまま不労所得的に収入を得るもよし、どっしりと構えて売却活動するもよし、自分の好みに合わせて対応すれば良いです。

労働所得型の物件であれば

以下のような選択肢を、自分の意思に合わせて検討する必要があります。

  • 多少の労力をかけてでも家賃収入を求める(自主管理・DIYなど)
  • 二束三文でも、あまり手をかけずに売却する
  • 自分で住む(実需としての活用)

どの選択肢にも正解・不正解はありません。重要なのは、不動産を相続したからと浮足立たずに状況を客観的に見極め、自分の意思に合った選択をすることです。

まとめ

「不動産所得=不労所得」という単純な図式は、現実を正確に表していません。

物件の資産価値所得の性質必要なアクション
高い資産所得(不労)に近い管理委託で十分(売却でも良い)
低い労働所得に近いかかる労力を加味した判断が必要

相続で不動産を引き継ぐことになった方は、まず自分が引き継いだ物件がどちらのタイプなのかを把握することから始めてください。その上で、自分の時間・労力・人生の使い方に合った選択をすることが、後悔のない不動産経営につながります。

※ この記事は個人の考え方をまとめたものです。不動産経営の判断については、専門家へのご相談をおすすめします。

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