資産配分の重要性|不動産を相続した人が特に意識すべき理由

不動産賃貸業を営む上で、個人資産を含めた「資産配分(アセットアロケーション)」を意識しているかどうかは、長期的な経営の安定に大きく影響します。特に不動産という現物資産を持っている方にとって、避けては通れないテーマです。

今回は、自分自身の現状整理も兼ねて、アセットアロケーションの基本と不動産相続者が意識すべきポイントをまとめました。

資産とは何か

まず「資産」の定義を整理します。資産とは、売ってお金と交換できるもの持っていることでお金を得られる可能性があるもののことを指します。

身近な資産の種類を整理すると、こうなります。

種類具体例
金融資産現預金、債券、株式、保険など
現物資産不動産(マイホーム・賃貸物件)、車、高級は宝飾品・時計など
無形資産知的財産・著作権など

不動産は資産の中でも特に金額が大きくなりやすいです。

一極集中のリスク

資産管理の基本原則は分散です。

例えば、株式の個別銘柄に全財産を集中投資していたとして、その銘柄が暴落したら目も当てられません。「資産は全て現預金です」という状況も、今のインフレ環境下では、年々資産が目減りしていくだけで、望ましい状況ではありません。

だからこそ、無リスク資産(減りはしないが増えることもない)である現預金(日本国債)とリスク資産である株式・現物資産を、バランスよく持って適度なリスクを持つことが重要です。

例) 現預金500万円(5割)・株式の投資信託400万円(4割)・マイカー100万円(1割) など

これは投資の世界でよく言われることですが、不動産でも同じ考え方が当てはまります。

不動産相続者が陥りやすい問題

一般的な個人は金融資産の割合が高い傾向にあります。ただ、マイホーム購入者や不動産を相続した人は、不動産資産に極端に集中してしまうことがあります。

具体的な数字で考えてみます。

元々の金融資産:500万円
相続した不動産の市場価値:9,500万円
→ 資産全体に占める不動産の割合:95%

これは決して極端な例ではありません。都心の優良なエリアの物件はもちろん、地方の賃貸物件でも、複数棟を相続すれば1億円規模になることはよくある話です。そして、この状態では以下のリスクが顕在化したときのダメージが甚大になります。

  • 災害リスク:地震・火災・水害による物件の毀損
  • 環境リスク:隣に葬儀場や嫌悪施設ができるなど周辺環境の変化
  • 需要リスク:エリアの人口減少による賃貸需要の低下

無借金であれば最悪の場合でも対処できますが、借入金がある場合はさらに危険度が増します。

先ほどの例の条件を少し変えてみましょう。

・金融資産:500万円
・相続した不動産:9,500万円
・不動産建築時の借入残債:-7,000万円

この状況で例えば不動産の価値が半減してしまうと、金融資産500万円、不動産4,750万円で総資産が5,250万円・・・借入金の方が大きく、純資産がマイナスの状況です。

不動産は換金性が低く、「ちょっとだけ売る」ということもほぼできないため、いざという時に身動きが取れなくなるリスクがあります。

資産管理の優先順位

資産配分を考える上での優先順位は、自分の中では明確です。

① まず純資産をプラスにする(最重要)

純資産=資産-負債。これをプラスに保つことが最低条件です。借入が資産価値を上回る「債務超過」の状態は、何かあったときに破産リスクが生まれます。相続した不動産に借入が紐づいている場合は、まずここを確認しておくべきです。

② 次に分散を意識する

純資産がプラスになったら、次は資産の分散です。不動産資産の割合が極端に大きくなっている場合は、金融資産への配分を増やしていく必要があります。

ただし前述の通り、不動産は「一部だけ売る」ことが難しい資産です。そのため実質的には、家賃収入をむやみに使わずに金融資産(現預金・株式)を積み上げていくことが、不動産大家にとっての分散戦略になります。地道ですが、これが現実的な方法だと思っています。

私自身の現状と今後の方針

現状

相続前の私は、マイホームなし・マイカーなしで現物資産はほぼゼロの状態でした。金融資産は数千万円程度。

祖父からの相続で私が直接受益権を持つ不動産は、築10年ほどの木造戸建の1/2です。市場価値はざっくり1,000〜2,000万円程度と見込んでいます。今のところ、不動産資産が資産全体の大半を占めるわけではないため、結果として上手く分散できている状態です。

今後の展望

一方で、現在は両親・叔母が受益権を持っている不動産の一部を、将来的に相続した際には話が変わります。そうなると不動産資産の価値が1億円規模になる可能性があり、資産配分が一気に不動産に偏ります。

そのために今のうちから金融資産(現預金・株式)を着実に育てておくことが、将来のバランス維持につながるはずであり、10年後・20年後を見据えると、今の行動が効いてくるはずと考えています。

ぼんやりとした悩み

ただ、もう一つ、自分の中で整理しきれていないことがあります。

「将来、金融資産1億円・不動産資産1億円」のような状態になれたとして、資産を増やすこと自体が目的になってしまうと、何のための人生かわからなくなります。現在は幸いにも無借金です。ほどよく浪費して人生を充実させるためにもお金を使っていくべきでは、とも思っており、正直なところまだ明確な答えは出ていません。これはぼんやりと悩み続けているテーマです。

まとめ

  • 純資産をプラスに保つことが最優先:資産-負債がプラスであれば、最悪の事態は避けられます。まずここを死守する。
  • 不動産に偏りすぎたら金融資産を増やす:不動産は部分売却が難しいため、家賃収入を金融資産に積み上げることが現実的な分散手段です。
  • 定期的にアセットアロケーションを見直す:資産状況は相続・売却・市場変動などで変化します。過度に心配しすぎず、定期的に全体を俯瞰して見直す習慣を持つことが重要です。
  • 資産を増やすことは手段であって目的ではない:資産配分を整えることは、豊かな人生を送るための手段です。目的を見失わずに、人生の充実とのバランスを取り続けることも大切なテーマです。

※ この記事は個人の考え方をまとめたものです。資産運用・相続の判断については、税理士・ファイナンシャルプランナーなどの専門家へのご相談をおすすめします。

関連記事

相続した不動産との向き合い方|三代目大家として考えてきたこと

相続大家の実際の労働時間|6棟管理でも年間5日分という現実

ゆるくても大家同士の繋がりはあった方が良い|リベシティのオンライン不動産コミュニティ

不動産所得は資産所得(不労所得)か?労働所得か?

コメント

タイトルとURLをコピーしました