ハウスメーカーの新築戸建投資は儲かるのか?10年間の実収支を公開

不動産の実務経験談

「相続税対策として賃貸物件を新築した」という話を以前の記事でご紹介しました。今回はその実収支を、できる限り具体的な数字でお伝えします。一部濁している部分はありますが、参考になれば幸いです。

この記事でわかること

  • 新築木造戸建(サブリース付き)の実際の収支内訳
  • 10年間のキャッシュフローのリアルな数字
  • 表面利回りと実態のギャップ

物件の基本情報

  • 所在地:関西ベッドタウン(賃貸需要の旺盛なエリア)
  • 構造:木造2階建戸建
  • 建築費:2,400万円(造成費・外構費込み、2014年当時)
  • ローン:30年・1.09%固定(10年)→変動、フルローン
  • 月額家賃:20万円(新築プレミアム)
  • サブリース契約:家賃収入の10%が手数料

年間収支の内訳

収入

家賃20万円×12ヶ月に空室率3%を考慮した実収入が出発点です。そこからサブリース手数料10%が引かれた金額が実際の手取り家賃になります。

経費

固定資産税は年間約20万円(実績値)です。火災保険は新築時に30年間の長期一括契約を締結しており、地震保険込みで年換算約2万円という格安水準に収まっています。修繕費はこの10年間で実績ゼロでした。植栽の剪定は10年間で3回、1回2.5万円の計7.5万円の支出です。

ローン返済と返済比率

2,400万円・30年・1.09%のフルローンで月々の返済額は約77,000円、年間約92万円になります。返済比率は手取り家賃収入に対して約44%です。一般的に35%以下が安全圏とされる中でやや高めの水準ですが、賃貸需要の旺盛なエリアのため安定して推移しています。


10年間収支シミュレーション(1戸あたり)

項目年間10年累計備考
家賃収入(空室率3%考慮)233万円2,328万円20万×12×97%
サブリース手数料(10%)▲23万円▲233万円実収入×10%
手取り家賃収入209万円2,095万円
固定資産税▲20万円▲200万円実績値
火災保険料(地震保険込)▲2万円▲20万円30年一括契約
修繕費0円0円10年間実績ゼロ
植栽剪定費▲7.5万円2.5万×3回(10年合計)
経費合計(10年)▲227.5万円
ローン返済(元利合計)▲92万円▲924万円2,400万・30年・1.09%
10年間手残り(税引前)+約95万円(年平均)+約943万円経費・ローン控除後

※税金(所得税・住民税)は考慮していません ※土地取得費用は除く


10年間キャッシュフロー推移

10年間キャッシュフロー推移(1戸あたり・税引前) 0万20万40万60万80万100万 95万95万93万95万95万93万95万95万95万93万 944万 0万200万400万600万800万1000万 1年目2年目3年目4年目5年目6年目7年目8年目9年目10年目 年間手残り(棒) 累積CF(折れ線・右軸) 年間(万円) 累積CF(万円)
年間手残り累積CF
1年目+95万円+95万円
2年目+95万円+190万円
3年目+93万円+283万円
4年目+95万円+378万円
5年目+95万円+473万円
6年目+93万円+566万円
7年目+95万円+661万円
8年目+95万円+756万円
9年目+95万円+851万円
10年目+93万円+944万円

※3年目・6年目・10年目は剪定費2.5万円が発生


表面利回りと実態のギャップ

建物の建築費2,400万円に対して年間家賃収入(満室)240万円という計算では、表面利回りは10%に見えます。しかしこれは土地の価値を除いた数字です。駐車場として活用していた土地には当然ながら市場価値があります。その土地価格を分母に加えると、実質的な利回りはかなり低下します。「表面利回り10%」という数字だけを見て飛びつくと、実態とのギャップに気づくことになります。


まとめ

賃貸需要のあるエリアなら収支は十分に回る
賃貸需要の旺盛なエリアであれば、収支は問題なく回ります。返済比率は高めですが、空室リスクが低いエリアであれば許容できる水準です。

手間はほぼゼロ
サブリースと管理委託を組み合わせることで、新築から10年間はほぼ手間なしで運営できています。本業がある方には大きなメリットです。修繕トラブルもこの10年間はゼロでした。

純粋な投資としては妙味が薄い
土地価格を含めた実質利回りで見ると、決して旨みのある投資とはいえません。今回の新築は相続税対策という明確な目的があったからこそ成立した判断です。「利回りが良さそうだから」という理由だけで安易に真似することはおすすめできません。

※ この記事は実体験をもとにした情報提供を目的としています。不動産投資の判断は、税理士・ファイナンシャルプランナーなどの専門家へのご相談をおすすめします。

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