不動産賃貸業を続ける上で、管理会社との関係は非常に重要です。自社の利益だけを追求するのではなく、大家(貸主)の利益も真剣に考えてくれる管理会社かどうかで、経営の安心感が大きく変わります。
今回は、そんな信頼できる管理会社の姿勢を実感したエピソードをお伝えします。
この記事でわかること
- 良い管理会社が大家のために動いてくれた実体験
- 契約上の義務を超えた誠実な対応とはどういうものか
- 長期的に付き合える取引先を見極めるポイント
事の経緯——法人契約の入居者が滞納開始
祖父が亡くなる少し前のことです。2年ほど住んでいた入居者から家賃の滞納が始まりました。
この入居者は少し変わった方で、法人(小さな一般社団法人)名義での契約でした。法人契約だったため、通常は加入を求める家賃保証会社への加入なしで入居を進めました。
保証会社なしとしたのは祖父の判断でした。実は入居付けを担当してくれた仲介会社は保証会社への加入を推奨していましたが、祖父がそれを断ったという経緯がありました。
管理会社への相談——当時はまだ仲介者の立場
滞納が始まり、まず法人の担当者に連絡を取りました。しかし状況は改善されませんでした。
困り果てて相談したのが、入居付けを担当してくれた仲介会社でした。当時はまだ管理委託はしておらず、仲介者という立場の会社です。契約上、管理業務を担う義務はありません。
予想外の対応——無償で対応してくれた
相談すると、仲介会社は動いてくれました。法人の代表者への事情説明、退去に向けた調整、滞納分の回収——これらすべてを対応してくれたのです。
そして何より驚いたのが、一切の費用を請求されなかったことです。
理由を尋ねると、こんな言葉が返ってきました。
「おじいさんとは長いお付き合いで、仲介した者として責任がありますので」
保証会社なしとしたのは祖父の判断であり、仲介会社はむしろ加入を推奨していたにもかかわらず、です。契約上の責任が一切ない状況で、費用も取らずに動いてくれたことに、大いに感謝しました。
この経験から感じたこと
契約書だけの関係ではない
不動産賃貸業では多くの取引が契約書に基づいて動きます。しかし今回の対応は、契約書に書かれた義務をはるかに超えるものでした。
長年にわたる祖父との信頼関係、「仲介した者として責任がある」という誠実な姿勢——これは契約書には書けない、人と人との関係が生んだものです。
相続大家として引き継いだのは物件だけではありませんでした。祖父が長年かけて築いてきた信頼関係という無形の財産も引き継いでいたのだと、改めて実感しました。
先にギブできる相手と付き合う
「ギブアンドテイク」という言葉があります。しかし現実には、ギブしたからといってリターンが必ず返ってくる保証はありません。
それでも、リターンの保証がない中で先に相手のために動ける方と取引したいと強く感じました。今回の仲介会社がまさにそういう方でした。
損得勘定だけで動く相手とは、うまくいっている間は問題ありません。しかしいざというときに本当に頼りになるのは、信頼関係を構築できる相手だけです。
良い管理会社・取引先を見極めるポイント
今回の経験をもとに、信頼できる取引先を見極める上で意識していることをお伝えします。
① 契約上の義務を超えて動いてくれるか
困ったときに「それは私たちの範囲外です」と言うのか、「できることをやります」と動いてくれるのかで、その会社の姿勢が見えます。
(相手に強制は絶対NG。テイカー(収奪者)になってはいけない。)
② 長期的な関係を大切にしているか
短期的な利益よりも、長期的な信頼関係を重視している取引先かどうかは、日頃のやりとりの中でじわじわと見えてきます。
③ 自分の利益だけでなく、相手の利益も考えているか
今回の仲介会社は、自社の利益にならない状況でも大家側の利益のために動いてくれました。大家の利益と自社の利益を両立して考えてくれる相手かどうかが、長く付き合える取引先かどうかの分岐点です。
まとめ
良い管理会社・取引先との関係は、不動産賃貸業における最大の財産のひとつです。
契約書に書かれた義務の範囲内だけで動く相手ではなく、長期的な信頼関係を大切にしながら、リターンの保証がなくても先に動いてくれる相手——そういった方と仕事ができることは、大家業を長く続けていく上での大きな支えになります。
祖父が長年かけて築いた信頼関係が、相続後の私をも助けてくれたこのエピソードは、先代への感謝とともに忘れられない経験となりました。
※ この記事は実体験をもとにした情報提供を目的としています。管理会社の選定はご自身の状況に合わせてご判断ください。


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