不動産事業を本格的に引き継ぎ始めた頃、知識を得ようとネットで見つけた無料セミナーにいくつか参加しました。その中で、今から振り返ると1、2位を争うほど危険だったと感じているセミナーがあります。テーマは「火災保険の有効活用」でした。
セミナーの内容
講師は(自称)元大手建設会社勤務で一級建築士の資格を持つという人物でした。
セミナーの内容を要約するとこういうものでした。
「当社に相談いただければ、建物の破損部分を台風被害と関連づけて火災保険の費用で直せます。火災保険の申請書類も当社で書きます。費用は降りた保険額の1/3をいただくので、実質格安で建物を修繕できます」
一見すると「お得な話」に聞こえます。しかし帰宅後に調べてみると、これがいかに危険な内容だったかがわかりました。
これは明確な違法行為です
この手法には2つの違法性があります。
① 非弁行為
保険金の申請書類を代行して作成することは、弁護士法に違反する非弁行為に該当します。有償で法律事務を代行できるのは弁護士のみです。
② 保険会社への詐欺(保険金詐欺)
台風被害と関係のない損傷を「台風被害」として申請することは、保険会社に対する詐欺行為に該当します。
重要なのは、この行為が発覚した場合、業者だけでなく依頼した大家(オーナー)も罰せられる可能性が大きいという点です。「知らなかった」では済まないのです。もし素直にセミナーの話を信じて依頼していたら、と思うとぞっとします。
どうやって気づいたか
セミナー中、私はその場では違法であると言う知識もなく、真っ当な方法かどうかを判断できませんでした。気づいたのは帰宅後に2つのことをしたからです。
① 企業の評判をネットで調べた
検索してみると、同様の手口に関する注意喚起や、トラブル事例がいくつか出てきました。
② 「類似事例」で調べた
「火災保険 代行申請」などのワードで検索したところ、この手法が違法行為であることを示す情報が多数出てきました。
その場で即決しなかったこと、帰宅後に調べたことが功を奏しました。
この業者のその後
企業名は伏せますが、調べると現在も無料セミナーを開催しているようです。投資用ワンルームマンションの販売も行っているのようで、複数の問題ある事業を展開している企業のようです。近づかない方が賢明です。
無料セミナーが危険な理由
この経験を通じて、無料セミナーについての認識が大きく変わりました。
無料セミナーは悪徳業者の巣窟と思っておくくらいで丁度良い。
理由は3つあります。
① 開催している企業には必ず営利目的がある
「無料」というのはあくまで入口です。セミナーを開催するコストをかけている以上、参加者から何らかの形で回収する目論みがあります。商品・サービスへの誘導、または高額コンサルへの勧誘が典型的なパターンです。
② 個人情報が抜かれる
参加申込の際に、メールアドレス・電話番号・住所などの個人情報を入力します。この情報は営業活動に使われます。
③ 知識のない状態では判断できない
悪質なセミナーほど、参加者が持っていない知識を活用した巧みな説明で「お得に見せる」構成になっています。基礎知識がない状態で参加すると、違法行為や不当な契約に気づけません。
業者の言葉を鵜呑みにしないために
この経験から学んだ最も重要なことは「その場で決断しない」「必ずセカンドオピニオンを集める」という習慣です。
どんなに魅力的な提案でも、その場での即決は禁物です。帰宅後に以下の手順を踏むだけで、大きなリスクを避けられます。
- 企業名+「評判」「口コミ」「トラブル」でネット検索する
- 提案内容のキーワードで違法性・問題点を調べる
- 信頼できる別の専門家や知人に意見を聞く
不動産業界は情報の非対称性が大きい世界です。業者は知識を持っており、素人はそれを持っていない。この構造を悪用する業者が存在することを常に念頭に置いておくことが、身を守る第一歩です。
まとめ
- 無料セミナーには必ず裏がある:開催コストをかけている以上、何らかの回収目的があります。参加するなら最低限の基礎知識を持ってから。
- 違法な手口は「お得に見える」:今回のケースのように、一見「大家にとってお得」に見える提案が、実は違法行為のケースがあります。うまい話には必ず罠があると思っておく。
- その場で決断しない:どんな提案でも帰宅後に調べる。この習慣だけで多くのトラブルを避けられます。
- セカンドオピニオンを集める:一つの業者の意見だけで判断せず、必ず複数の情報源から確認する姿勢を持つ。
※ この記事は実体験をもとにした情報提供を目的としています。不審なセミナーや業者への対応については、専門家や消費者センターへのご相談をおすすめします。

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