不動産賃貸業を行う上で、火災保険への加入は必須です。一方で保険料は決して安くなく、直近では値上がりの一途をたどっています。この記事では、保険の本質を踏まえた上で、私が実践している火災保険の最適化についてお伝えします。
保険の本質を理解する
まず大前提として、保険の本質を正確に理解しておく必要があります。
保険とは「発生確率は低いが、万が一起きた場合に自力では対処できない規模の損失に備えるもの」です。
火災事故はまさにその典型です。頻繁に起きるものではありませんが、一度発生すると数千万円規模の損失になり得ます。自力での対処が難しいからこそ、保険で備える意義があります。
逆にいうと、自力で対処できる規模の損失については、保険でカバーする必要はありません。この考え方が、保険の最適化の出発点です。
保険の本質や地震保険については、リベシティ大学(リベ大)の両学長のYouTube動画やブログ記事が非常にわかりやすく解説しています。保険の見直しを検討している方は下記を参照することをおすすめします。
リベ大おすすめ動画・記事
「【お金の授業 5限目】保険を正しく見直そう」(YouTube)
「【十分な補償?】保険の役割と地震保険の必要性の考え方を解説」(https://liberaluni.com/earthquake-insurance)
直近の火災保険を取り巻く環境
火災保険は直近で大きく変わっています。
- 保険料の値上がり:災害の多発を受けて、各保険会社が保険料を引き上げています
- 長期契約の廃止:以前は10年・30年といった長期契約が可能でしたが、現在は最長5年に短縮されています
大家にとっては手痛い状況ですが、こればかりは受け入れるしかありません。だからこそ、保険料を少しでも抑える工夫が重要になります。
我が家の火災保険の状況
| 物件 | 保険会社 | 概要 |
|---|---|---|
| 物件①②③(築古) | 三井住友海上 | 祖父の代からの保険代理店で集約 |
| 物件④⑤⑥(比較的新しい) | 損保他 | 新築時に30年一括契約した保険を継続 |
物件④⑤⑥は新築時に30年の長期一括契約を締結しており、地震保険込みで年換算約2万円という格安水準が続いています。現在では同様の条件での新規契約は難しいため、非常にラッキーな状況です。
保険料を抑えるために実践している3つのこと
① 築古物件の地震保険を外す
地震保険は「被災時の生活再建支援」という意味合いが強く、被災額に対して満額の補償が出るわけではありません。実態として、地震保険だけで物件を再建することは難しいのです。
そのため地震保険に頼るのではなく、預貯金で備えることがベストという判断をしています。
具体的には、いざ被災した際の自身の生活再建と物件の解体費として、1,000万円程度は手元に確保しておく方針です。また、土地の価値が大きい場合は土地を担保にローンを組んで上物の再建も可能です。築古アパートの将来を考える際も、この「土地の価値」という観点は重要になります。
② 水災補償を外す
水災補償を外すには、以下の2点を確認した上で判断しました。
- ハザードマップで水害リスクエリア外であること
- 過去50年間で水害の実績がないこと
この2点が確認できたため、水災補償を外すことにしました。ハザードマップの確認は国土交通省の「重ねるハザードマップ」で無料で調べられます。
③ 免責金額を引き上げる
免責金額とは「この金額以下の損害は保険を使わずに自分で負担する」という設定です。
我が家では免責金額を0円から5万円に引き上げました。小さな被害は預貯金で対応し、保険の本質である「確率は小さいが損失が大きい事態」に絞って保険を活用する形です。修繕対応の実体験でもお伝えしているように、小さなトラブルは自力で対処できる体制を整えておくことが重要です。
保険を薄くすることへの不安とどう向き合うか
「保険を削るのは怖い」という感覚は自然です。保険代理店の担当者も、基本的には手厚い保障を勧めてきます。
しかし大切なのは、最悪のケースを想定した上でその損失額を自力で耐えられるかどうかを冷静に判断することです。
- 地震で物件が全壊した場合、いくらの損失になるか
- その損失を預貯金で補填できるか
- 土地の価値を担保に資金調達できるか
この問いに腹落ちできる答えが出せれば、保険を外しても精神的に安定した判断ができます。逆に「万が一のときに本当に困る」という状況であれば、保険は外すべきではありません。
相続大家としての考え方でも触れていますが、感情ではなく数字と事実をベースに判断することが、長期的な経営安定につながります。
相見積もりもおすすめ
私自身は実施していませんが、火災保険も複数社で相見積もりを取ることをおすすめします。保険会社によって同じ補償内容でも保険料に差が出ることがあります。
特に築古物件の保険を見直す際には、現在の契約内容と他社の見積もりを比較してみる価値があります。
火災保険の一括見積もりサイトもあります。
私自身は、一括査定サイトは使わず、知人の保険屋さんに一度他社さん(東京海上系)の火災保険の相見積もりを取りましたが、ほとんど料金に差はなかったので、これまでのご縁を大事に、という結論でそのまま現在に至っています。
例)SBIグループの一括見積もりサイト
ネット加入 vs 代理店|どちらを選ぶか
火災保険に加入する方法は大きく2つあります。ネットで完結する方法と、担当者が付く代理店を通じる方法です。
ネット加入の最大のメリットは価格の安さです。中間コストが省かれる分、保険料を抑えやすい傾向にあります。
一方で、担当者が付く代理店も決して悪い選択肢ではありません。私が代理店を評価している理由は主に3つです。
- ニーズに合わせてカスタマイズしてくれる:こちらの物件の状況や考え方をヒアリングした上で、必要最低限の補償内容に調整してくれます。過剰な補償を付けさせるような押し売りがなく、むしろ「これは外せますよ」と提案してくれる担当者もいます。
- 保険料値上がりの情報を事前に教えてくれる:火災保険は近年値上がりが続いていますが、担当者がいると「〇月から料率が上がります。その前に契約を更新しておきましょう」と先回りして案内してくれます。これは代理店ならではのメリットです。
- 何かあったときの安心感がある:事故や災害が起きたとき、「とりあえず担当者さんに連絡すれば大丈夫」という安心感は大きいです。ネット加入だとコールセンター対応になることが多く、担当者との継続的な関係は築きにくいです。
安さを重視するならネット、繋がりや安心感を重視するなら代理店というように、自分のスタンスに合わせて使い分けるのが良いと思います。私自身は現在、担当者の付いた代理店を通じて加入しています。
まとめ
① 保険の本質を理解することが最初の一歩
「確率は低いが損失が大きい事態への備え」というシンプルな原則に立ち返ることが、最適化の出発点です。
② 自力で対処できる損失には保険を使わない
地震保険・水災・小額の損害については、預貯金で備えることで保険料を抑えられます。
③ 最悪のケースに腹落ちできるかが判断基準
保険を外す際は「最悪の場合にいくらの損失が出るか」を試算した上で、それを自力で耐えられるかを確認してから判断しましょう。
④ 担当者の言われるがままにしない
代理店担当者は手厚い保障を勧めてくる立場です。保険の本質を理解した上で、自ら能動的に最適化していく姿勢が重要です。
※ この記事は実体験をもとにした情報提供を目的としています。保険の見直しはご自身の状況に合わせて判断し、不明な点は保険の専門家へのご相談をおすすめします。


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