相続で不動産を受け取ったとき、まず最初にすべきことは何でしょうか。手続きや管理体制の整備も重要ですが、その前に「自分が何を持っているのか」を正確に把握することが大前提です。
自分が相続した物件の資産価値を知らない状態は、車種もMTかATかもわからないまま運転手を引き受けるようなものです。何かあったときに適切な判断ができません。
この記事でわかること
- なぜ物件の資産価値を早めに把握すべきなのか
- 不動産の「一物五価」とは何か
- 実勢価格と固定資産税評価額の実践的な使い方
- 私が実際に行った資産価値の把握方法3つ
不動産の価値は「一物五価」
不動産の厄介なところは、価値が一つではないことです。同じ土地や建物に対して、目的別に5つの価格が存在します。これを「一物五価」と呼びます。
| 価格の種類 | 概要 | 水準の目安 |
|---|---|---|
| 実勢価格(時価) | 実際に売買が成立する価格。いわゆる「相場」 | 基準 |
| 地価公示(公示地価) | 国が公示する標準的な土地の価格。目安として使われる | 実勢価格に近い |
| 基準地価 | 都道府県が調査する、公示地価を補完する価格 | 実勢価格に近い |
| 相続税路線価 | 相続税・贈与税の計算基準 | 公示価格の約80% |
| 固定資産税評価額 | 固定資産税・都市計画税の計算基準 | 公示価格の約70% |
詳細な計算方法については専門サイトに譲りますが、相続大家として日常的に意識すべき価格は実勢価格と固定資産税評価額の2つであると私は考えます。
特に重要な2つの価格
① 実勢価格(時価)——売ったときの価値
実勢価格は、物件を売却した際に実際に手に入る金額の基準です。実際には仲介手数料などの諸費用がかかるため、実勢価格×80%を手残りの目安として考えておくと安全です。
財務健全性チェック
実勢価格×80% > 借入金残高 → 安全圏(最悪、物件を売れば借金は残らない)
実勢価格×80% < 借入金残高 → 要注意(売っても借金が残る債務超過の状態)
売るつもりがまったくない人でも、この数字は把握しておくべきです。いざというときの選択肢の有無が、経営判断の自由度に直結します。
② 固定資産税評価額——毎年のコストに直結
固定資産税評価額は、毎年行政から届く納税通知書に記載されています。固定資産税・都市計画税の計算基準となるため、年間コストに直結する重要な数字です。
常に最新の評価額を把握しておくことで、毎年の税負担をあらかじめ見込んでおけます。また、公示価格の約70%という関係性から、実勢価格の目安としても活用できます。
私が実際に行った資産価値の把握方法3つ
① 管理会社からの評価
まず管理会社に物件の評価を依頼しました。日常的に管理している立場から、現実的な相場観を教えてもらえます。ただし管理会社の評価は1社の意見にすぎないため、参考値として捉えます。
② イエウールで3社の査定見積もりを取得
不動産一括査定サービスのイエウールを使い、複数の不動産会社から査定を取りました。複数社の評価を比較することで、相場の幅感が掴めます。イエウールを使った詳細な体験については別記事で紹介しています。
③ AIを使って自分で試算
家賃相場や近隣の成約事例をもとに、AIの力を借りながら自分で大まかな金額の目安をつけました。「結局、各不動産会社がやっていることも基本は同じで、それを精度高くやっているだけ」という認識を持つと、自分で試算する意義も見えてきます。
3つの方法を組み合わせることで、1社の評価に左右されることなく、客観的な相場感を把握することができました。
毎年やる必要はない
「資産価値の把握」と聞くと、毎年やらなければならないように感じるかもしれません。しかし実際には、一度きちんと把握してしまえば十分です。
- 建物の老朽化が進んだとき
- 固定資産税評価額が大きく変化したとき
- 周辺エリアの不動産相場が大きく動いたとき
目安としては3〜5年に一度の再評価で十分だと考えています。
まとめ
① 自分が何を持っているかを知ることが大前提
資産価値を知らない状態では、経営判断の基準が持てません。まず現状把握から始めましょう。
② 日常的に意識すべきは実勢価格と固定資産税評価額の2つ
実勢価格は財務健全性の確認に、固定資産税評価額は年間コストの把握に使います。
③ 複数の方法で相場感を掴む
管理会社・一括査定サービス・自己試算の3つを組み合わせることで、偏りのない相場感が得られます。
④ 毎年やる必要はない。3〜5年に一度で十分
一度把握してしまえば、大きな変化があったときだけ見直せばOKです。
※ この記事は実体験をもとにした情報提供を目的としています。不動産の資産価値の評価については、不動産会社や税理士などの専門家へのご相談をおすすめします。


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