当記事では私が実際に体験した不動産事業の承継・相続の概要を記載します。細々とした反省点はありますが、総じてスムーズな承継だったと思います。
この記事でわかること
- 不動産相続をスムーズに進めるために生前にやっておくべきこと
- 実際に祖父が実施した5つの相続準備の内容
- 引き継ぐ側として反省していること
はじめに
2021年末、祖父が他界し相続が発生しました。コロナ禍で満足に面会できないまま迎えた別れは心残りでしたが、不動産に関しては祖父が生前からしっかり準備してくれていたおかげで、非常にスムーズに承継することができました。
同じように不動産の相続で悩んでいる方の参考になればと思い、私の体験を記録しておきます。
我が家の状況
家族構成
- 被相続人:祖父(祖母は既に逝去)
- 法定相続人:父・叔母・母(普通養子縁組)
- 法定相続人以外の関係者:私・妹
物件情報
祖父は関西のベッドタウンに、駅から徒歩10分圏内で集約された6棟を所有していました。
- 木造アパート 2棟(築約50年)
- 鉄骨テナント 1棟(元コンビニ)
- 軽量鉄骨造戸建 1棟(元祖父の自宅)
- 木造戸建 2棟(相続対策で2015年新築)
賃貸需要の旺盛なエリアで、入居率は比較的高い状況でした。
祖父が生前に実施した5つの相続準備
① 経営情報の共有
私が20歳前後の頃、祖父から不動産賃貸業の引き継ぎを打診されました。父と祖父の仲が良くなかったため、白羽の矢が私に立ちました。
当時は不動産の「ふ」の字も知らなかった私に、祖父は約1年かけて以下を教えてくれました。
- 各物件の歴史と経営方針
- 収支状況
- 取引先の紹介(仲介業者・リフォーム業者など)
- 相続税の試算
祖父の経営哲学は「ジリ貧になって困る前に動く」。高利回りを狙うより、余裕があるうちに投資して安定経営を維持するという考え方で、素人ながら大いに共感しました。
② 駐車場に賃貸物件を新築
相続税対策として、所有していた駐車場に戸建を2棟新築しました。大手ハウスメーカー3社から提案を受け、家族で「借金が少なく堅実に経営できるプラン」を希望した結果、サブリース付きの戸建2棟新築という選択になりました。
今の知識で振り返ると「安易に選択すべきプランではない」とも思いますが、知識のない家族に精一杯配慮してくれた祖父の判断だったと感じています。
③ 母との普通養子縁組
叔母は子どもがいなかったため、祖父は母と普通養子縁組を組みました。市役所に書類を1枚提出するだけで、母が正式な相続人となり、相続税の控除枠も増えました。コストをほぼかけずに節税できる、非常に合理的な対応でした。
④ 公正証書の作成・家族信託契約
2次相続まで見据えて、各棟ごとに受託者と受益者を設定した家族信託契約を締結しました。
- 受託者:私または妹
- 受益者:第一受益者=祖父/第二受益者=父・母・叔母/第三受益者=私・妹
地元の司法書士に依頼して、しっかりとした契約書を作成してもらいました。
家族信託を結んだ経緯と設計の詳細については、親子3代で家族信託契約を結んだ話もあわせてご覧ください。
⑤ 実務の経験を積ませてもらった
基本は祖父が自主管理を続けながら、「経験のために」と受託者となった私にも実務を少しずつやらせてもらいました。
空き部屋の原状回復手配、不動産業者への仲介依頼、賃貸契約の締結、外灯修繕、植栽剪定の依頼など、相続が発生する前、相談できる人が健在なうちに経験できたことは、非常に有意義でした。
引き継ぐ側として反省していること
祖父の準備が万全だったおかげでスムーズに承継できましたが、引き継ぐ側の私の本気度・理解度は正直不十分でした。立地に恵まれていたから乗り越えられたものの、入居付の難易度が高いエリアであれば失敗していてもおかしくなかったと思っています。
まとめ|不動産承継で大切な3つのこと
私の経験から言えることは大きく3つです。
① 時間をかけること
不動産賃貸業の承継には最低10年以上かかります。直前にあわてて動くのは絶対NGです。
② 引き継ぐ側の適性と意思が重要
無知・無覚悟で不動産事業を引き継ぐと大きな失敗につながります。投資額が大きいと、その分失敗した時の損失額も大きくなります。引き継ぐ意思がない場合、ある程度経験・勉強して適性がないと判断する場合は、相続前に現金化することも視野に入れるべきと思います。
③ 家族間のコミュニケーションを大切に
全員が納得できる相続は難しいですが、少なくともお互いを尊重しながら忌憚なく話し合える関係性を日頃から築いておくことはとても大切です。
別記事に各項目についての体験談はまとめていきます。
引き続きよろしくお願いいたします。


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