相続して大家になったら宅建は取るべきか?

考え方・マインド

不動産業界は魑魅魍魎といわれます。百戦錬磨のプロの業者が、知識のない素人を食い物にするケースも珍しくありません。

相続で大家になった当初、「プロと渡り合うために宅建を取得すべきか」と真剣に考えました。結論からいうと、わざわざ宅建を取得する必要はないというのが私の考えです。その理由を3つお伝えします。

この記事でわかること

  • 相続大家に宅建資格が必要かどうかの結論
  • 宅建を取らなくてよい3つの理由
  • 相続大家が本当に必要な知識とは何か

理由① 相続大家は多大なアドバンテージを持っている

純粋な不動産投資家と相続大家では、スタートラインがまったく違います。

最大の違いは土地取得コストがゼロという点です。投資家は土地取得に多額の資金を投じ、そのコストを家賃収入で回収しながら戦っています。相続大家はそのコストがありません。借入も少なく、経営の余裕が圧倒的に違います。

対等な知識・経験がなくても、このコスト構造の優位性だけで十分に戦えます。

相続大家が本当に必要な知識はそれほど多くありません。

  • 相場感:物件の家賃相場・固定資産税の水準・リフォーム費用の相場
  • 業界慣習:管理会社・仲介会社の利益構造、各種手数料の仕組み
  • 最低限の法律知識:借地借家法の基本、退去費用負担のガイドライン

この3つさえ押さえておけば、プロの業者と渡り合うのに宅建の資格は必要ありません。

理由② 頻繁に不動産を売買するわけではない

宅建の試験範囲は、不動産の売買・仲介・賃貸借など幅広い取引に関する知識が中心です。しかし相続大家の実態を考えると、そのほとんどは使わない知識です。

相続大家は不動産「投資家」ではなく、不動産「賃貸業の経営者」です。売買の機会は非常に少なく、私自身これまで一度も売買を経験していません。

細かい取引知識よりも、日々の賃貸経営に必要な実務的な知識の方がはるかに重要です。そしてそれは、実務経験者が書いた本やネットの情報で十分に補えます。

理由③ コスパ・タイパが悪い

宅建の合格率は例年15〜17%程度で、合格には200〜300時間程度の勉強が必要といわれています。

試験範囲には、相続大家として現物件だけを扱う限り、まず出会わないような条件の知識まで含まれています。本業を持ちながら不動産賃貸業を兼業でやっている身としては、そこに時間を投じるコストパフォーマンスは決して高くありません。

不動産賃貸業への注力はほどほどで十分。限られた時間は、より実務に直結する知識の習得や、実際の経営判断に使う方が合理的です。

こんな人は取る価値がある

一方で、宅建の勉強をする価値がある方もいます。

不動産をさらに買い進めたい方
投資として積極的に物件を取得・売却していきたい場合は、取引に関する知識が直接役立ちます。

不動産賃貸業が面白くなってきた方
勉強すること自体が楽しい、もっと深く知りたいという意欲がある場合は、資格取得を目標にするのも悪くありません。知識が増えると経営の視野が広がります。

本業として不動産業に関わりたい方
宅建は不動産業界への転職や独立を考えている場合には必須の資格です。

相続大家に本当に必要な勉強とは

宅建を取らなくていいとはいえ、最低限の知識は必要です。私が実際に役立つと感じた勉強法を優先順位順にお伝えします。

① 実務経験者の体験談を読む
書籍・ブログ・YouTubeなど、実際に大家業を営んでいる方の発信が最もリアルで実用的です。ただし情報の質には差があるため、常に疑念を持ちながら読む姿勢が重要です。

② 相場感を肌で覚える
家賃相場・修繕費用・管理委託料など、実際の数字に触れながら相場感を身につけることが何より重要です。見積もりを複数社から取る習慣が、最も効率の良い勉強です。

③ 借地借家法とガイドラインの基礎を押さえる
入居者との関係で必ず関わる借地借家法の基本と、国土交通省が定める退去費用負担のガイドラインだけは最低限把握しておきましょう。

④ 実践が最大の勉強
管理会社との交渉、修繕業者の手配、確定申告——実際に手を動かす経験に勝る勉強はありません。

まとめ

相続大家に宅建は必要か?という問いへの答えは「不要」です。

相続大家はもともと大きなアドバンテージを持っています。そのアドバンテージを活かしながら、実務に直結する最低限の知識を地道に積み上げていけば十分です。

宅建の勉強に時間とエネルギーを使うより、実際の経営に向き合う時間を増やすことの方が、相続大家としての成長につながります。

※ この記事は実体験をもとにした個人の見解です。不動産経営の判断については、専門家へのご相談をおすすめします。

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